Web業界で働く女性エンジニアのリアル年収・文化・SIerとの違いを実データで解説【2026年】
最終更新: 2026年6月12日
この記事の結論
- ・Web業界は自社サービス/メガベンチャー/Web受託/スタートアップの4タイプで働き方が大きく異なる。「Web系」と一括りにせずタイプで選ぶことが重要
- ・年収は「Web系=高年収」は半分神話。業種平均ではインターネット/広告/メディア440万円とSIer(481万円)より低い一方、Webサービス開発SEの年収は578.5万円(厚労省job tag)と職種・企業差が極めて大きい
- ・文化面はモダン技術・裁量・私服・リモート(情報通信業のテレワーク導入率94.3%)が強み。逆に研修制度や雇用の安定性はSIerに分があることも多い
- ・女性ITエンジニア比率は18.8%とまだ少数派だが、10年間で女性エンジニア数は約46%増。リモート普及でライフイベントとの両立環境は改善傾向
- ・完全未経験から自社開発企業への直接転職は狭き門。受託・SIerで実務経験を積んでから移る段階ルートが現実的
Web業界の構造|4タイプの企業を整理
「Web業界」と一括りに語られがちですが、実際には事業モデルによって働き方・年収・求められるスキルが大きく異なります。転職で後悔しないために、まず次の4タイプを区別して考えましょう。
① 自社サービス企業(中堅Web系)
自社でECサイト・SaaS・メディアなどを開発・運営する企業。プロダクトの企画から運用・改善まで一気通貫で関われるのが最大の魅力です。ユーザーの反応が数字で返ってくるため、改善のサイクルを回す面白さがあります。技術選定の裁量が大きい反面、事業の浮き沈みが処遇に直結しやすい側面もあります。
② メガベンチャー・大手テック
大規模な自社サービスを複数展開する上場企業群。大規模トラフィックを支える技術的挑戦と、大手ならではの福利厚生・産休育休制度の両方を得やすいタイプです。給与水準はWeb業界の中で最も高い層に入りますが、その分中途採用の選考難易度も高く、即戦力の実務経験が前提になります。
③ Web受託開発企業
クライアントのWebサービス・アプリを受託で開発する企業。多様な業界・技術に触れられ、実務経験を積む入口として現実的な選択肢です。一方で納期・予算はクライアント次第で、担当案件によって労働環境が変わりやすい点は把握しておきましょう。SES(客先常駐)との違いはSES・受託・自社開発の違いで詳しく解説しています。
④ スタートアップ
資金調達をしながら急成長を目指す少人数組織。裁量の大きさ・成長速度・ストックオプションの可能性が魅力ですが、制度の未整備や事業リスクと表裏一体です。産休育休の「制度はあるが前例がない」企業も少なくないため、女性のキャリア継続の観点では見極めが特に重要です。詳しくはスタートアップ転職ガイドをご覧ください。
| タイプ | 年収の傾向 | 働き方の傾向 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 自社サービス | 業界平均並み〜やや上。事業の成長に連動 | リモート・フレックスが浸透。改善サイクル中心 | プロダクトを育てたい人 |
| メガベンチャー | 業界内で最高水準の層。選考難易度も高い | 制度・福利厚生が充実。産休育休実績も豊富 | 大規模開発と安定を両立したい人 |
| Web受託 | 業界平均〜やや下から始まることが多い | 案件次第で繁閑差。多様な技術に触れられる | 実務経験を積みたい人・幅を広げたい人 |
| スタートアップ | 幅が大きい。SOなど株式報酬の可能性あり | 裁量最大・制度は未整備のことも | 変化とスピードを楽しめる人 |
※年収の傾向は後述のdoda「平均年収ランキング2025」・厚生労働省job tagの公開データをもとにした定性的整理です。個別企業の条件は必ず求人・面談で確認してください。
実データで見るWeb業界の市場と需要
Web業界の事業基盤であるEC・ネットサービス市場は拡大が続いています。経済産業省の「令和6年度電子商取引に関する市場調査」によると、2024年の日本のBtoC-EC(消費者向け電子商取引)市場規模は26.1兆円(前年比5.1%増)、BtoB-ECは514.4兆円(同10.6%増)に達しました。Webサービスを支えるエンジニアの仕事の土台となる市場そのものが、毎年伸び続けている状況です。
出典: 経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2026年6月参照)
人材需要も高水準です。厚生労働省の職業情報提供サイトjob tagでは、システムエンジニア(Webサービス開発)の有効求人倍率は2.57倍(令和6年度)とされ、求職者1人に対して2.5件以上の求人がある売り手市場が続いています。また経済産業省「IT人材需給に関する調査」(2019年3月)は、2030年にIT人材が最大約79万人不足する可能性を試算しており、中長期でも需要が大きく崩れにくい職種といえます。
出典: 厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「システムエンジニア(Webサービス開発)」/経済産業省「IT人材需給に関する調査」(いずれも2026年6月参照)
26.1兆円
2024年BtoC-EC市場規模(前年比+5.1%)
2.57倍
Webサービス開発SEの有効求人倍率(令和6年度)
最大79万人
2030年のIT人材不足試算(経産省)
ただし「業界が伸びている=誰でも入れる」ではありません。需要の中心は実務経験者であり、未経験者にとっての門の狭さは後述の通りです。この点を踏まえて戦略を立てることが、Web業界転職の成否を分けます。
Web業界の年収相場|「Web系=高年収」は半分神話
SNSでは「Web系に行けば年収が上がる」という言説をよく見かけますが、公開データを見るとそう単純ではありません。doda「平均年収ランキング2025」によると、ITエンジニア全体の平均年収は469万円(正社員全体の平均は429万円)。業種別ではむしろインターネット/広告/メディア業界(440万円)はシステムインテグレータ(481万円)より低いのが実態です。
| 区分 | 平均年収 | 出典 |
|---|---|---|
| 正社員全体 | 429万円 | doda「平均年収ランキング2025」(パーソルキャリア、2025年12月発表) |
| ITエンジニア全体 | 469万円 | |
| インターネット/広告/メディア業界 | 440万円 | |
| システムインテグレータ(SIer) | 481万円 | |
| ソフトウェア/パッケージベンダ | 493万円 | |
| ITコンサルティング | 505万円 | |
| システムエンジニア(Webサービス開発) | 578.5万円 | 厚生労働省 job tag(令和7年賃金構造基本統計調査ベース) |
注目すべきは数字の「ズレ」です。転職サービスの登録者ベース(doda)ではインターネット業界の平均は440万円にとどまる一方、国の賃金統計をもとにしたjob tagでは、Webサービス開発を担うシステムエンジニアの年収は578.5万円(平均年齢37.1歳)。つまりWeb業界は、経験の浅い層と経験豊富な層・大手と中小の年収差が非常に大きい業界だということです。
メガベンチャーや上場テック企業のシニアエンジニアは高水準ですが、若手中心の中小Web企業や広告・メディア系は平均を押し下げています。「Web系だから高い/低い」ではなく、どのタイプの企業で・どの職種スキルを持つかで決まると考えてください。職種別の詳しい年収はフロントエンド・バックエンドの各ガイドで解説しています。
出典: doda「平均年収ランキング2025」(パーソルキャリア)/厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「システムエンジニア(Webサービス開発)」(いずれも2026年6月参照)
SIerとの文化の違い|どちらが良いかは人による
Web業界とSIerは同じ「ITエンジニア」でも文化が大きく異なります。ネット上では「SIer=古い、Web系=先進的」という単純化が目立ちますが、実際にはそれぞれに合理性のあるトレードオフです。公平に比較します。
| 項目 | Web業界の傾向 | SIerの傾向 |
|---|---|---|
| 技術スタック | React/TypeScript・Go・クラウドネイティブなど自社で選定。新技術の採用が速い | 顧客システムの要件に従う。Java・実績ある枯れた技術が中心で堅実 |
| 開発スタイル | アジャイル・小さくリリースして改善。裁量が大きい | ウォーターフォール中心。ドキュメントと品質管理が体系的 |
| 評価制度 | 成果・技術力ベースが主流。昇給の上下動が大きめ | 等級・年次ベースの要素が残る。緩やかだが着実に上がる |
| 服装・社風 | 私服・フラットな組織が多い | ビジネスカジュアル〜スーツ。顧客対応上の規律あり |
| リモートワーク | 浸透度が高い(情報通信業のテレワーク導入率94.3%) | 導入は進むが、客先常駐案件では顧客の方針に左右される |
| 教育・研修 | OJT・自走前提。体系的な研修は薄い企業が多い | 新人研修・資格支援が体系的。未経験育成の実績が厚い |
| 安定性 | 事業の浮き沈みが処遇に直結しやすい | 長期契約・大手親会社などで雇用が安定しやすい |
出典: テレワーク導入率は総務省「令和6年通信利用動向調査」(企業全体47.3%、情報通信業94.3%)(2026年6月参照)。その他は両業界の一般的傾向の整理であり、企業による差があります。
Web業界が合う人
- ・モダンな技術を自分で選び、速いサイクルで作りたい
- ・成果ベースの評価で年功に縛られたくない
- ・リモート・フレックスなど働き方の柔軟さを最優先したい
- ・自走して学び続けることが苦にならない
SIerが合う人
- ・体系的な研修で着実に育ちたい(未経験・第二新卒含む)
- ・雇用と収入の安定性を重視したい
- ・社会インフラ級の大規模プロジェクトに関わりたい
- ・要件定義などの上流工程・マネジメントを目指したい
SIerの働き方・年収の詳細はSIerへの転職ガイド、契約形態ごとの違いはSES・受託・自社開発の違いをあわせてご覧ください。
女性エンジニアから見たWeb業界
まず現状の数字を直視すると、日本のITエンジニアに占める女性の比率は18.8%で、OECD加盟33カ国中17位(OECD平均20.6%)という調査があります。情報サービス産業協会(JISA)の会員企業調査でも、ITエンジニアのうち女性は22.6%。Web業界を含むIT業界全体で、女性はまだ少数派です。
一方で変化も明確です。JISAの統計では女性エンジニア数は2013年の約3.1万人から2023年には約4.6万人へと10年間で約46%増加。さらに総務省の調査では、情報通信業のテレワーク導入率は94.3%と全産業トップで(企業全体は47.3%)、通勤や転居の制約を受けにくい働き方が業界標準になりつつあります。
出典: ヒューマンホールディングス「ITエンジニアの女性比率に関する調査」(2025年)/情報サービス産業協会(JISA)「情報サービス産業基本統計調査」/総務省「令和6年通信利用動向調査」(いずれも2026年6月参照)
Web業界のプラス面
リモート・フレックスの浸透により、育児・介護との両立や時短勤務の選択肢が広い。成果が可視化されやすい開発職は、勤務時間の長さではなくアウトプットで評価されやすく、時短でも実力が認められやすい構造です。メガベンチャーを中心にD&I施策や産休育休の取得実績を公開する企業も増えています。
注意すべき点
企業差が極めて大きいのがWeb業界です。スタートアップや小規模企業では「制度はあるが取得前例がない」ケースが現実にあります。求人票だけでは分からない、産休育休の取得・復帰実績、時短勤務者の評価運用、女性管理職の有無は、エージェント経由や面談で必ず確認しましょう。
Web業界転職の現実的なルート
ここは正直にお伝えします。完全未経験から人気の自社開発企業へ直接転職するのは狭き門です。自社開発企業の中途採用は即戦力が中心で、未経験者は経験者と同じ土俵で比較されるためです。「未経験OK・Web系」を強調する求人の中には、実態がSES(客先常駐)であるケースも混ざっているため注意が必要です。その上で、現在地別の現実的なルートは次の通りです。
IT実務経験者(SIer・SESなど)→ Web系
最も成功率が高いルート。要件定義・DB設計・品質管理などの経験は評価対象になります。React/TypeScript・Go・Docker/CI/CDなどモダンスタックを自主学習し、小さくてもポートフォリオを用意してから応募するのが定番。IT特化型エージェントで「SIer出身者歓迎」の求人を絞り込めます。
完全未経験 → 受託・SIerで経験 → Web系
遠回りに見えて確実なルート。研修のある受託・SIerで1〜3年の実務経験を積み、開発の基礎体力(Git・チーム開発・テスト)を付けてからWeb系へ移ります。job tagの有効求人倍率2.57倍が示す通り経験者の需要は高く、実務経験さえあれば選択肢は大きく開けます。
完全未経験 → ポテンシャル採用で直接Web系
不可能ではありませんが、20代など若手が中心で、学習実績とポートフォリオの完成度勝負になります。独学・スクールで半年〜1年学び、公開できる制作物を作った上で挑戦を。書類で落ち続ける場合は、ルートBへの切り替えを早めに判断するのが賢明です。
周辺職種から開発へ(社内異動・ジョブチェンジ)
テスター・QA・カスタマーサポート・Webディレクターなどの職種でWeb企業に入り、社内で開発にスライドする方法。企業文化への適応が済んでいる分、異動のハードルは外部転職より低いことがあります。入社前に異動実績の有無を確認しておきましょう。
目指す職種を先に決めると学習が迷子になりません。画面・UIを作りたい人はフロントエンドエンジニア転職ガイド、API・データベースなど仕組み側に興味がある人はバックエンドエンジニア転職ガイドで、必要スキルとロードマップを確認してください。
Web系転職に強いエージェント
Web系企業への転職を成功させるには、Web系の求人に強いIT特化型エージェントの活用が不可欠です。Web系企業の内部情報や選考のポイントを熟知したアドバイザーのサポートを受けることで、転職成功率が大幅に向上します。
レバテックキャリア
Web系・自社開発企業の求人が豊富。技術に精通したアドバイザーがスキルを正当に評価し、最適な求人を提案。年収70万円以上アップの実績多数。
レバテックキャリアの詳細レビューを見る →Web系企業への転職では、複数のエージェントを並行利用するのが効果的です。各エージェントが持つ独自の求人にアクセスでき、より多くの選択肢の中から最適な転職先を見つけられます。2〜3社の併用がおすすめです。
よくある質問
Q.Web系企業の年収はSIerより高いですか?▾
A.業種平均で見ると必ずしも高くありません。doda「平均年収ランキング2025」では、インターネット/広告/メディア業界の平均年収は440万円で、システムインテグレータ(481万円)やITコンサルティング(505万円)を下回ります。一方、厚生労働省job tagではシステムエンジニア(Webサービス開発)の年収は578.5万円とされており、同じWeb業界でも企業規模・職種・スキルによる差が非常に大きいのが実態です。メガベンチャーや上場テック企業では高水準ですが、「Web系なら誰でも高年収」ではない点に注意が必要です。
Q.Web業界とSIer、女性エンジニアにはどちらが働きやすいですか?▾
A.一概にどちらが良いとは言えず、重視する条件次第です。Web業界は技術選定の裁量・私服勤務・リモートやフレックスの柔軟さに強みがあり、総務省の令和6年通信利用動向調査では情報通信業のテレワーク導入率は94.3%と全産業で最も高い水準です。一方、大手SIerは体系的な研修制度・産休育休の取得実績・雇用の安定性に強みがあります。教育を受けながら着実に育ちたい人はSIer、裁量とスピードを求める人はWeb系が合いやすい傾向です。
Q.未経験からWeb系自社開発企業に転職できますか?▾
A.正直に言うと、完全未経験からの自社開発企業への直接転職は狭き門です。自社開発企業の中途採用は即戦力(実務経験者)が中心で、未経験者は経験者と同じ枠で比較されるためです。現実的なのは、(1)受託開発やSIerで1〜3年の実務経験を積んでから移る、(2)ポートフォリオと学習実績を作りポテンシャル採用枠を狙う、(3)テスター・サポートなど周辺職種から開発に近づく、という段階的なルートです。遠回りに見えても、実務経験を挟む方が結果的に早く確実です。
Q.Web業界の女性エンジニア比率はどのくらいですか?▾
A.日本のITエンジニア全体の女性比率は18.8%(OECD加盟33カ国中17位、OECD平均は20.6%)という調査があります。また情報サービス産業協会(JISA)の基本統計調査では、会員企業のITエンジニアのうち女性は22.6%で、女性エンジニア数は2013年の約3.1万人から2023年の約4.6万人へ10年間で約46%増加しています。まだ少数派ではあるものの増加傾向が続いており、リモートワークの普及した Web業界はライフイベントと両立しやすい環境が整いつつあります。
Q.SIerからWeb系への転職では何が評価されますか?▾
A.要件定義・基本設計などの上流経験、データベース設計、大規模システムの品質管理、顧客折衝・プロジェクト推進の経験は、Web系企業でも高く評価されます。一方で、React/TypeScriptやGo、Docker・CI/CDなどのモダンスタックは入社前にキャッチアップしておく必要があります。SIerでの経験+自主学習のポートフォリオという組み合わせが定番の合格パターンで、IT特化型エージェント経由でSIer出身者歓迎求人を探すのが効率的です。
出典一覧
- ・出典: 経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」2025年8月公表(2026年6月参照)
- ・出典: doda「平均年収ランキング2025」パーソルキャリア、2025年12月発表(2026年6月参照)
- ・出典: 厚生労働省 職業情報提供サイトjob tag「システムエンジニア(Webサービス開発)」令和7年賃金構造基本統計調査ベース(2026年6月参照)
- ・出典: 総務省「令和6年通信利用動向調査」(2026年6月参照)
- ・出典: ヒューマンホールディングス「ITエンジニアの女性比率に関する調査」2025年(2026年6月参照)
- ・出典: 一般社団法人情報サービス産業協会(JISA)「情報サービス産業基本統計調査」(2026年6月参照)
- ・出典: 経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年3月(2026年6月参照)
※本記事の年収・統計データは上記公開資料に基づく参考値です。調査主体・対象・時期により数値は異なり、個別の求人条件を保証するものではありません。